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育毛・発毛コラム 2018/09/29
更新日:2018/09/28

【2017年】男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインの発表内容をわかりやすく解説


男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインとは、日本皮膚科学会が、数あるAGA治療について、医学的根拠をもとに推奨度を分類したものです。有効な治療を選択するために欠かせないこのガイドラインについて、わかりやすく解説しましょう。

男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインとは

男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインとは、薄毛治療において、標準的かつ有効な治療について提示することで、男性型脱毛症の治療が適切に行われることを目指したものです。主要な治療について、その推奨度と理由が言及されています。2010年に初版が作成され、2017年に改訂されました。

男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインと発表された背景

今日、男性型脱毛症の治療にはさまざまな治療が行われるようになり、成果を上げてきましたが、一方で、効果のない治療や民間療法も数多くあり、結果として適切な治療が受けられていないという現状もあります。そこで、日本皮膚科学会は、根拠のある治療方法を明確化するために、毛髪科学研究会と協力し診療ガイドラインを作成するに至ります。

日本皮膚科学会とは

日本皮膚科学会は、皮膚科学の研究・教育・医療の連携をはかり、皮膚科学の発展を目指すことを目的とした団体です。皮膚科領域における研究発表や皮膚科専門医の養成および資格認定などを行っています。また、一般の人を対象とした公開講座などの開催や情報発信などにも積極的です。

2017年版のガイドラインの作成メンバー

2017年版のガイドラインの作成を担当したのは、男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会で、次の17人の毛髪・皮膚領域の専門家がメンバーです。

眞鍋 求(秋田大学医学部皮膚科学・形成外科学講座 教授 )
坪井 良治(東京医科大学皮膚科学分野 主任教授)
板見 智(大阪大学大学院医学系研究科 皮膚・毛髪再生医学寄附講座教授 )
長田 真一(秋田大学医学部 准教授 )
天羽 康之(北里大学医学部皮膚科学 主任教授 )
伊藤 泰介(浜松医科大学皮膚科学講座 病院准教授・講師 )
乾 重樹(心斎橋いぬい皮フ科院長・大阪大学医学部皮膚・毛髪再生医学寄附講座特任教授 )
植木 理恵(順天堂大学医学部皮膚科学 先任准教授 )
大山 学(杏林大学医学部 教授 )
倉田 荘太郎(別府ガーデンヒルクリニック くらた医院 院長 )
幸野 健(日本医科大学千葉北総病院皮膚科 教授 )
齊藤 典充(横浜労災病院皮膚科 部長 )
佐藤 明男(東京メモリアルクリニック・平山 院長 )
下村 裕(山口大学大学院 医学系研究科 皮膚科学講座 教授 )
中村 元信(東京ハートライフクリニック 院長 )
成澤 寛(佐賀大学医学部皮膚科学教室 教授 )
山崎 正視(東京医科大学皮膚科学教室 准教授 )

いずれも、脱毛症の治療や研究に長年携わっている専門家ばかりです。

男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインの推奨度

男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインでは、メタ分析や比較試験、分析疫学的研究などのエビデンスのレベルをもとに、治療の推奨度を以下の5段階に分類しています。

A 行うよう強く勧める
B 行うよう勧める
C1 行ってもよい
C2 行わない
D 行うべきではない

ただし、脱毛症の分野ではエビデンスそのものが不足しているため、委員会でのコンセンサスで推奨度が決められた治療も含まれています。また、ガイドライン改訂時に推奨度が変更されるケースもありました。

2017 年版の内容

2017年度版のガイドラインでは、治療の有用性について次のように定義されています。

・フィナステリドの内服 A(男性型脱毛症)、D(女性型脱毛症)
・デュタステリドの内服 A(男性型脱毛症)、D(女性型脱毛症)
・ミノキシジルの外用 A
・植毛術 自毛植毛術B(男性型脱毛症)、C1(女性型脱毛症)人工毛植毛術 D
・LED、低出力レーザー照射 B
・アデノシンの外用 B(男性型脱毛症)、C1(女性型脱毛症)
・カルプロニウム塩化物の外用 C1
・t- フラバノンの外用 C1
・サイトプリン、ペンタデカンの外用 C1
・ケトコナゾールの外用 C1
・かつらの着用 C1
・ビマトプロスト、ラタノプロストの外用 C2
・成長因子導入・細胞移植療法 C2
・ミノキシジルの内服 D

2017年版より、男性型脱毛症だけでなく、女性型脱毛症についてもさらに詳細に言及されるようになっています。

フィナステリドの内服は有用か?

フィナステリドの内服は、男性型脱毛症でA、女性型脱毛症ではDに分類されています。男性には有用で強く勧められますが、女性は副作用の問題があるため、使用してはいけません。

フィナステリドとは?

男性型脱毛症は、体内の男性ホルモンが、酵素5αリダクターゼによって強力な脱毛作用のあるジヒドロテストステロン(DHT)へ変化することにより起こります。フィナステリドは、このII型酵素5αリダクターゼの働きを阻害することにより、ジヒドロテストステロンの生成を抑え、脱毛症の改善に効果を発揮します。

男性を対象とした各種の臨床試験において、フィナステリドの内服により有意な効果があり、服用継続により改善率が上昇することがわかっています。そのため、男性型脱毛症改善の高い根拠とされました。実際に、現在の男性型脱毛症の治療でも多数の実績があり、AGA治療の中核ともいえます。プロペシアで知られていますが、現在は特許期間が過ぎましたので、さまざまな製薬会社から、ジェネリック製品も発売されるようになりました。

しかし、女性に対しては効果が認められないうえ、妊娠中に服用した場合に男子胎児の生殖機能の正常発育に影響を及ぼすことから、用いるべきではないとされています。

関連記事:フィナステリドの効果と製品をまとめてみた(製品情報あり)

デュタステリドの内服は有用か?

デュタステリドの内服の推奨度は、男性型脱毛症でA、女性型脱毛症ではDです。

デュタステリドは、テストステロンと結びついてジヒドロテストステロンを生成する酵素5αリダクターゼのI型・II型の両方の働きを抑える作用があります。男性を対象とした画像による効果判定では、デュタステリド投与者に有意な効果が見られました。また、別の試験では、52週の投与で、非軟毛数、硬毛数、非軟毛直径がいずれも増加し、頭頂部の写真評価でも有意な効果が確認できています。しかし、女性に対しては、臨床試験は行われていません。また、薬の構造から、フィナステリドと同じように、妊娠中の服用は男子胎児の生殖機能の正常発育に影響が出る恐れがあるため用いるべきではないとされています。

ミノキシジル外用は有用か?

ミノキシジルの外用の推奨度はAです。男性型脱毛症には5%、女性型脱毛症には1%の使用が強く勧められています。

ミノキシジルとは?

ミノキシジルは、血管拡張作用のある薬で、本来は高血圧症の治療薬として開発されていた薬です。服用中の人に薄毛の改善が副作用としてあらわれたことから、発毛剤としての開発が進められたという経緯を持っていますが、現在では外用薬として用いられています。血管拡張作用があり、毛母細胞を活性化させてヘアサイクルを正常化し、薄毛を改善する薬です。

ミノキシジルは6か月の使用で効果があらわれますが、男性型脱毛症においては、5%濃度での使用では、効果発現まで4か月程度と早くなることがわかっています。ただし、女性については皮膚症状の副作用リスクが高いという結果もあるため、1%で用いることとなっています。ミノキシジルが配合されているの外用薬は、大正製薬のリアップシリーズとスカルプD メディカルミノキ5が市販されており、医師の処方なしで購入可能です。

関連記事:ミノキシジルの副作用や効果は?使用前に最低限知っておきたい8つのポイント

植毛術は有用か ?

自毛の植毛については、男性型脱毛症でB、女性型脱毛症でC1の推奨度です。ただし、人工毛の植毛術については、Dの行うべきではないとされています。
自毛植毛に関する確たる有効性のデータはありませんが、8割以上の生着率が得られたという報告があります。そのため、ほかの治療により効果が得られなかった場合に限って推奨される治療です。十分な技術と経験のある医師のもとで治療を受けることをおすすめします。

ただし、人工毛植毛術については、感染リスクなど安全性に問題があるため行うべきではありません。アメリカFDAでも、人工毛の植毛は有害として禁止されています。

LED および低出力レーザー照射は有用か?

LEDおよび低出力レーザー照射の推奨度はBです。照射により毛髪の増加が認められたことに加えて、副作用も大きくないことから、適切な機材で治療を行うことが推奨されています。ただし、照射機器は未認可のため、光源や波長、出力については報告がさまざまで、全ての機器で効果が認められているものではありません。しかし、エビデンスが揃ってくれば、今後評価が上がることが期待できるでしょう。

アデノシンの外用は有用か?

発毛促進因子を産生する働きのあるアデノシンの外用の推奨度は、男性型脱毛症でB、女性型脱毛症でC1となっています。男性型については、臨床試験でも改善結果が見られ、十分な根拠がありますので推奨です。女性型の場合は、根拠は不足しているものの、使用による大きな問題となる副作用がないことや、すでにアデノシンを含む育毛剤が販売され、使用実績があることから、行ってもよいとされています。

カルプロニウム塩化物の外用は有用か?

血管拡張作用から脱毛症改善の効果が期待できるカルプロニウム塩化物の外用の推奨度は、C1です。臨床試験においてはやや有効であり、有用性は十分に実証されていないものの、現状保険適用の治療薬であること、および市販薬として利用されてきた実績があることから、行ってもよいとされています。

t-フラバノンの外用は有用か?

西洋オトギリソウエキスに含まれ、毛母細胞を活性化する働きのある成分t-フラバノンの外用の推奨度は、C1です。男性においては有効性について弱い根拠が認められているため、行ってもよいとされています。女性については十分な試験が行われていませんが、問題となる副作用はないため、同様の推奨度となりました。t-フラバノンについても、市販の育毛剤に配合されることの多い育毛成分です。

サイトプリンおよびペンタデカンの外用は有用か?

発毛促進を指令する働きのあるタンパク質を増やす、サイトプリンおよびペンタデカンの外用については、推奨度はC1で行ってもよいとされています。男女ともに軽度の改善効果が見られており、副作用も軽いものしかありませんので、治療として利用してもよいとされています。こちらも、市販の育毛剤によく配合されている成分です。

ケトコナゾールの外用は有用か?

ふけやかゆみを防ぐ効果のある抗真菌剤、ケトコナゾールの外用の推奨度はC1です。男性では、ケトコナゾール入りのシャンプーおよびローションの使用で脱毛の軽度改善実績があります。女性ではエビデンスはないものの、副作用が軽いことから使用してもよいとされています。ただし、現在ケトコナゾールは育毛剤として認可されていません。

かつらの着用は有用か?

かつらの着用についての推奨度はC1です。かつらは直接脱毛症の改善効果はありませんが、着用によるQOLの向上が認められています。また、着用による副作用もないことから、行ってもよいという評価となりました。かつらは医療機関で受ける治療ではないものの、ひとつの解決方法であるということは頭に置いておいたほうがよいかもしれません。

ビマトプロストおよびラタノプロスト外用は有用か?

ビマトプロストおよびラタノプロストの外用については、推奨度はC2です。ビマトプロストやラタノプロストは、緑内障で眼圧を下げるために用いられてきましたが、睫毛の発毛促進効果があることがわかりました。しかし、頭髪のように広範囲に用いた場合の安全性は不明で、現状薬剤の価格も高価です。睫毛以外にも効果がある可能性は考えられますが、臨床試験が行われておらず有用性も未検証のため、行わないほうがよいとされています。

成長因子導入および細胞移植療法は有用か?

成長因子導入や細胞移植療法の推奨度はC2です。脱毛部分に直接毛髪を誘導する細胞を移植することや、培養生成物を注入する治療で、臨床試験が進んでいます。しかし、現時点では倫理的な課題もある再生治療であり、有効性や安全性が十分に検証されていません。AGA專門医院では積極的に導入されているところもあり、今後が期待される治療ではありますが、現在では行わないほうがよいとされています。

ミノキシジルの内服は有用か?

ミノキシジルの内服の推奨度は、Dの行うべきではないとされています。ミノキシジルの内服薬については、日本では承認されていないからです。また、海外においてもミノキシジルの内服薬が脱毛症への認可がなされている国はなく、專門クリニックによる安易な処方や個人輸入による入手が問題視されています。

ミノキシジルの内服(ミノキシジルタブレット)とは?

ミノキシジルは現在外用薬として治療に用いられていますが、もともとは、内服の降圧剤として開発されたものですので、海外では内服薬も製造されています。血管拡張作用により全身の多毛が起こるために、脱毛症の改善にも効果が期待される薬ですが、現在のところ、脱毛症の治療法としては認可されていません。そのため、ミノキシジルの内服薬を入手するには、AGA專門クリニックが独自に処方を受けるか、個人輸入を利用することになります。
ただし、ミノキシジルは外用剤でも副作用が懸念されている薬であり、内服した場合には、リスクの高い血圧低下や循環器への副作用の報告もみられます。また、現状十分な臨床試験が行われておらず、効果と危険性が不明なため、ガイドラインでは行うべきではないと判断されています。

関連記事:ミノキシジルタブレットは効果も副作用も絶大?その特徴を徹底検証

男性型脱毛症診療ガイドラインを参考に適切な治療を受けよう

男性型脱毛症診療ガイドラインではそれぞれの治療の推奨度とその根拠を示しているものです。男性型脱毛症の治療方法には多種多様なものがありますが、どの治療が推奨されているのかを知っておくことは、治療の選択にとって欠かせません。リスクがあるのか、効果が薄いのかも大切です。新しい治療を試す前には、その治療がどのような立ち位置であるのか確認しておきましょう。

出典参照:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会
『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版』